NTTなど8社が100Gbpsイーサネットを効率的に運ぶ広域光ネットワーキング実験に成功

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NTT,NECNTTコミュニケーションズ三菱電機,日立,KDDI研,富士通,OKI の8社は2010年12月7日,100Gbpsイーサネットを効率的に運ぶ広域光ネットワーキング実験の成功を発表した.

NICT の委託研究により開発した,(1)ユーザによる網アクセスを効率化する技術(λアクセス技術),(2)網内の波長を有効利用する技術(λユーティリティ技術),(3)光リンクを高度化する技術(ユニバーサルリンク技術)を,の3つの技術を連携させ,JGN2plus に構築したWDM網内の波長資源を仮想化し,光波長(10Gbps 1〜10波)をユーザにオンデマンドで割当てる仮想光網を構成し,100Gbps の広域LAN環境を実現した.ユーザは 100Gbps インターフェイスを用いて接続することで,ブルーレイディスク1枚分のデータを 500 km の広域転送でも2秒で行うことが可能になる.

以下,要素技術の要約

(1)ユーザによる網アクセスを効率化する技術

パケット処理頻度を1/100に抑えて複数波長に振分けてパケット送受信

1MB の超ジャンボフレームを実装.従来のジャンボフレームに比べて 100 倍のサイズになるのでパケット処理の頻度が 1/100 になる.このジャンボフレームをイーサネットフレームに小分けにし,複数の波長にフレームを振り分けて通信.この振り分けは要求帯域やネットワークの負荷に応じて並列数が変更できる.並列化されたフレームはタイムスタンプに基づいて受信側 NIC でパケットに復元される.高速転送を行うために NIC のクロック誤差を数 us 程度に保つ技術を用いている.この動的に波数が変更される複数の波を1本のリンクに集約する技術を用いている.これにより 10G〜100Gbps のリンクをユーザがオンデマンドに設定可能になる.

パケットを公平に束ねて波長あたり100Gbpsでパケット送受信

複数のユーザから送られてくるパケットを公平に 100G Ethernet のフレームに束ねる技術のようである(?).フレーム多重技術で 10G Ethernet 信号を 100G Ethernet へ束ね,差動4値位相変調方式で 100G Ethernet の単一波長光伝送を実現している.

(2)仮想光網内の波長利用効率を向上する技術

1000ノード規模の波長資源をオンデマンドに計算して経路割当


複数のドメイン間にまたがるネットワークで最適な経路を複数のサーバが計算する技術を開発.偏波モード分散で光信号の劣化を検出.最適経路制御とオンデマンドな波長パス設定の自動化を実現.

多値変調と誤り訂正で波長利用効率を10倍に高め100Gbpsで広域光リンク

偏波多重4値位相変調を実現した機器を開発,500kmを超える実フィールドファイバ伝送で安定した伝送を確認.低密度パリティ検査(LDPC)符号と軟判定復号による高利得・低消費電力FEC技術を開発.

100Gbpsを超える速度の光信号をそのままデジタル再生して光中継伝送

光3R再生中継装置は160Gbpsの光信号をOEO変換することなく中継.従来の光増幅中継機能(Re-amplification)に加え,光信号の波形歪を除去する波形整形機能(Re-shaping)と時間揺らぎを抑圧するタイミング再生機能(Re-timing)を開発.

(3)LANやWANの光リンクを高度化する技術

100GbEのレーン障害を回避して高信頼化する並列レーン縮退伝送技術

100GbE ではマルチレーン伝送を行うが,1つのレーンで障害が発生すると他のレーンに影響し,リンクダウンを引き起こす.レーンの障害を監視し,障害を検知したレーンの使用を止めて安定したレーンだけを利用することができる並列レーン縮退伝送技術を開発.

100 Gbpsクラスの偏波多重多値変調光の信号モニタリングを可能にする信号処理技術

多値変調光の高安定なコヒーレント受信を実現するためのデジタル信号処理アルゴリズムを開発.100Gbpsクラスの偏波多重多値符号の特性として各偏波の振幅・位相の状態をモニタリングすることに成功.

コメント

これはヤバい.胸が熱くなる.

プレスリリースに各技術の詳細な解説が載っているので是非参照してほしい.私もまだ全部理解出来ていない.さらに細かい技術要素の参照ができたらなと思う.

ところで最近 NICT の予算が仕分けられまくっているのが悲しい.お金のかかる研究であることは間違いないが,有用な結果も出しているしもっと奨励して欲しいと思う.