今週の気になったお話 (2010/11/19〜2010/11/28)

人間の脳は地球上の全コンピュータより多くのスイッチを持つ

http://i.i.com.com/cnwk.1d/i/tim/2010/11/17/newimagingme.jpg

普通の健康的な脳には約2000億個の神経細胞があって,それらの神経細胞は数百兆個のシナプスによってつながっている.これらのシナプスは記憶装置と情報処理装置の両方の機能を持ったマイクロプロセッサとして機能し,シナプス1つあたり分子レベルの極小サイズのスイッチを1000個程度持っている可能性がある,とのこと.

http://news.cnet.com/8301-27083_3-20023112-247.html
人間の脳、地球上の全コンピュータより多くのスイッチを持つ--スタンフォード大学 - CNET Japan
http://www.cell.com/neuron/abstract/S0896-6273%2810%2900766-X

北大ら、ナノギャップ光アンテナの有機薄膜での光電変換の高効率化法を開発

分子エレクトロニクスでの利用が期待される有機薄膜型の光電変換分子素子において、光の利用効率を高める方法を開発したことを明らかにした。

いわゆる一般的な光アンテナの話なのかな...読んでいてよく分からなかった.

ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 | NIMS
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/23/007/index.html
2019年5月16日 | 日刊工業新聞 電子版

東北大、低消費電力と長期信頼性に優れる相変化メモリ材料を開発

相変化メモリの実用化に一歩近づいたようだ.

耐熱性に優れる低融点Ge-Cu-Te系相変化メモリ材料の開発に成功したことを明らかにした。同成果により、相変化メモリの欠点であるデータ書換消費電力を低減できるだけでなく、高温環境下でデータが消失してしまう問題を解消することが可能となると同大では説明している。

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/25/107/index.html

「無線 LAN は樹木を病気にする」という研究結果

Radiation from Wi-Fi networks is harmful to trees, causing significant variations in growth, as well as bleeding and fissures in the bark, according to a recent study in the Netherlands.

  • 20 のアッシュの木にさまざまな電波を当てたところ、無線 LAN 機器近くの木は葉の表皮細胞が死んでいく症状が見られた
  • 無線 LAN の電波がトウモロコシの穂の成長に悪影響を与えるという結果も見られた

ただこの「最近の研究」の明確なソースが見つけられなかった.悪影響を与える影響が山のようにあって,無線 LAN が原因かどうかは dubious とコメントしている人もいる.

Wi-Fi Makes Trees Sick, Study Says | PCWorld
「無線 LAN は樹木を病気にする」という研究結果 | スラド サイエンス

産総研、新原理を採用した有機太陽電池の動作を実証

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/25/111/images/011.jpg

実用化には高効率化が必要だが,以下のような問題がある.

  • 利用できる光が可視光領域に限られる
  • 太陽光エネルギーの約4割を占める近赤外光の利用が困難
  • 励起状態が短寿命で電気エネルギーに変換される前にエネルギーの大半が失われる

分子間電荷移動吸収を利用すると分子の組み合わせによって吸収する光の波長領域を広げることができると期待されており,これを利用した装置の試作と動作確認を行ったようだ.

すごいアイディア.

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/25/111/index.html

NTT と京都大学量子コンピュータ実現に近づく誤り耐性技術を開発

概要を NTT のプレスリリースより引用.身の回りでも量子コンピューティングや通信が熱くなってきているのを感じる.

量子コンピュータに必須な量子ゲートは、確実に正しい演算をすることはなく、ある程度の誤り確率をもつため、量子コンピュータを実現するためには、演算の誤り訂正を行う技術の実現が必須となります。演算の誤り訂正を行うためには、ある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であるとこれまで考えられていましたが、今回、誤り確率が非常に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐性のある量子計算方式を世界で初めて示しました。
 今回開発した方式により、誤りの大きな既存のデバイスも量子ゲートの実装に用いることが可能となり、量子コンピュータの実現に向けて大きく近づいたといえます。

報道発表資料 : 量子コンピュータ実現に大きく近づく誤り耐性技術を開発 | NTT
NTT と京都大学、量子コンピュータ実現に近づく誤り耐性技術を開発 | スラド

アルミ電線が実用化される

アルミ電線は理想ではあるが,クリープ(伸び)や他の金属との電解腐食とか価格がネックになっていたようだが,住友電工が実用化し,トヨタが採用したとのこと.

同じ電流量を流す場合,このアルミ電線の採用により35%の軽量化を達成することができるが,アルミニウム表面には強固な酸化皮膜が存在するために,端子接続において,圧着などの現行の銅電線と同様の接続方法を採用すると,アルミ電線導体と端子間の接触抵抗が経時的に増加し,発熱などの原因となる。このため,アルミ電線に適応した端子接続技術の開発が必須となる。

http://www.sei.co.jp/news/press/10/prs864_s.html
アルミ電線が実用化される | スラド
三菱電線工業時報_自動車用アルミ電線の端子接続技術の開発(pdf)

紙の電子ペーパーを可能にする発見

シンシナティ大の研究者が、紙製の電子ペーパー実現につながる研究成果を発表しました。同大学ナノエレクトロニクスラボのAndrew Steckl 教授らが発見したのは、紙をElectrowetting (EW) ディスプレイの基板に用いることで、従来のガラスと同等の性能が得られること。エレクトロウェッティングディスプレイは電圧によって疎水性・親水性が変わる素材を使い、染料入りのオイルを画素として動かすことで表示する技術。

紙の電子ペーパーを可能にする発見、使い捨て電子ブックリーダーも - Engadget 日本版

900,000GBのデータを大腸菌1gに保存

iGEM 2010 で発表された論文.

例えば文字は Ascii 化されて,0〜3で表現される4進数に変換される.(0, 1, 2, 3) => (A, T, C, G) にマッピングされ,DNA シーケンスとして扱われる.たとえば "iGEM" は 105, 71, 69 ,77 に Ascii 化.これを4進数に直して 1221, 0113, 0111, 0131.DNA にマッピングして ATCT,ATTG, ATTT, ATGT となる.

homopolymer regions や repetitive regions に対しては圧縮もできるという.さらに暗号化や,チェックサムモジュールまであると.具体的な圧縮手法と暗号化手法はこの部分はスライドだけではよくわからなかった.

大腸菌1gにつき900,000GBのデータを格納できる手法が開発 | スラド サイエンス
スライド

IntelFPGAを組み込んだAtomプロセッサE600Cを発表

組み込み用途.FPGAはアルテラとのこと.

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/24/095/index.html
インテル、FPGAを統合した組み込み向けAtom - PC Watch