広島市大の研究グループが超高速衛星回線でTCPの世界最高速度を達成

広島市大は情報科学研究科・石田教授らの研究グループが超高速衛星回線でTCPの世界最高速度281.9Mbpsを達成したと発表した

衛星回線にはWINDS(衛星)とLET(鹿島宇宙技術センターの大型地球局、送信側)及びSDR-VSAT(超高速小型地球局、受信側)を利用し,TCPには同研究チームが開発したTCP-STARを用いた.これにより従来の最高速度であったNASAの127.8Mbpsを大きく上回る281.9Mbpsを達成することに成功した.

TCP-STARは超高速衛星回線用のTCP輻輳制御アルゴリズムであり,3つのメカニズムで構成されている.

  1. Congestion Window Setting (CWS): 利用可能帯域に基づいた輻輳ウィンドウ設定のメカニズム.ビットエラーによるデータロスで引き起こされる転送量の低下に耐えることができる.
  2. Lift Window Control (LWC): 推定された利用可能帯域に基づいて輻輳ウィンドウを迅速に大きくするメカニズム.
  3. Acknowledgment Error Notification (AEN): 遅延やACKロスによる再送ミスによって引き起こされるスループットの低下を避けるメカニズム.

衛星回線のようなセグメントロスの発生する環境で他のアルゴリズムより高速に通信ができるということだ.