Level3がGlobal Crossingを取引総額30億ドルで買収

2011年4月11日,Level3はGlobal Crossing(GBLX)を取引総額30億ドルで買収する合意に至ったと発表した

Global Crossingの評価額19億円に加えてGlobal Crossingの負債11億も含まれているため取引総額は30億ドルに達する.取引は株式交換方式で行われる.

このTier-1によるTier-1の買収によりLevel3は3つの大陸50の国に光ファイバネットワークを持ち,70の国に接続することになる.

「両社の昨年の売上高は、Level 3が36億5100万ドル、Global Crossingが26億900万ドルだが、それぞれ6億2200万ドルと1億7600万ドルの損失を計上している」 (ITproより引用)

WSJによれば,「米国内の光ファイバー回線は稼働率が50%を下回っているほか、インターネットのホールセール価格は過去3年にわたって年間約25%下落している」(ITproより引用)とのこと.

ヤマハのルーターにDoS攻撃可能な脆弱性

2011年4月11日,ヤマハは同社のほぼ全てのルータにDoS攻撃が可能な脆弱性があることを発表した.当時の全リビジョンのファームウェアが対象で,対策済みファームウェアのバージョン情報は同サイトで順次公開されている.

ルータ自身宛のIPv4パケットのヘッダオプションを処理する際に,特定の箇所に不正な値が存在すると不正なメモリ領域を参照してしまうのが原因とのこと.よってルータ自身へのパケットをフィルターすることで応急対応が可能.静的IPマスカレードによるルーターのポート開放を行っている場合はWANからの攻撃を受けてしまうので注意が必要.

広島市大の研究グループが超高速衛星回線でTCPの世界最高速度を達成

広島市大は情報科学研究科・石田教授らの研究グループが超高速衛星回線でTCPの世界最高速度281.9Mbpsを達成したと発表した

衛星回線にはWINDS(衛星)とLET(鹿島宇宙技術センターの大型地球局、送信側)及びSDR-VSAT(超高速小型地球局、受信側)を利用し,TCPには同研究チームが開発したTCP-STARを用いた.これにより従来の最高速度であったNASAの127.8Mbpsを大きく上回る281.9Mbpsを達成することに成功した.

TCP-STARは超高速衛星回線用のTCP輻輳制御アルゴリズムであり,3つのメカニズムで構成されている.

  1. Congestion Window Setting (CWS): 利用可能帯域に基づいた輻輳ウィンドウ設定のメカニズム.ビットエラーによるデータロスで引き起こされる転送量の低下に耐えることができる.
  2. Lift Window Control (LWC): 推定された利用可能帯域に基づいて輻輳ウィンドウを迅速に大きくするメカニズム.
  3. Acknowledgment Error Notification (AEN): 遅延やACKロスによる再送ミスによって引き起こされるスループットの低下を避けるメカニズム.

衛星回線のようなセグメントロスの発生する環境で他のアルゴリズムより高速に通信ができるということだ.

Facebookが高効率なデータセンターの仕様を公開 Open Compute Project 発足

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110408/359257/Datacenter-Electrical-Large.jpg

2011年04月07日,Facebookはパロアルトの本社で開催されたプレスイベントで,同社で培われてきたサーバ効率化技術を公開するOpen Compute Projectの発足を発表した.

Facebookでは最初の自前のデータセンターをOregon州Prinevilleに設立し,データセンターのイノベーションに成功したという.はこの10年間で他社の開発した数々の技術的恩恵を受けているため,同社がデータセンターの開発と運用で積み重ねた経験とノウハウを詳細に公開することで貢献し,公開によるテクノロジーのさらなる発展で再度同社が利益を得ることを望んでいるようだ.

要点

Oregon州Prinevilleのデータセンター
  • 1万3700平方メートル
  • 稼働率99.9999%
  • PUE1.07
  • 業界平均1.5
  • エネルギー効率38%アップ
  • コスト24%ダウン
  • 現在2つ目のデータセンターをNorth Carolinaに建設中
  • 3人のサーバエンジニアが開発
冷却・空調
  • 外気冷却
  • エアコン(冷媒,コンプレッサー,空調配管)なし
  • 霧を噴射して水の気化熱で冷却
  • 外気が低すぎるときは内部の暖かい空気と混合
  • 調整エリアとフィルターシステムを通ってサーバに降下
シャーシ・筐体

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110408/359257/Chassis-Large.jpg

  • 独自設計
  • 前面や上面のカバーがないオープンな構造
    • 部品の交換が用意になる
    • 材料を22%減らすことに成功
  • サイズは幅480mm高さ66mm(約1.5U)
  • "vanity-free server"
    • 無駄を排除した飾りのないサーバ
    • ネジをも排除
電源
  • 三相交流480V配電
  • サーバへの供給電圧は単相交流227V
    • 標準値の208Vから昇圧
    • 変圧器の損失を11-17%から2%に抑制
  • バックアップバッテリユニットから直流48V入力可能
  • 電源効率は95.4%
  • 電力を12%削減できるUPS(特許出願中)
温度管理
  • 巨大なヒートシンクを設置してCPU冷却効果を高める
    • →冷気の温度を高めに設定できる
    • →消費電力減
  • マザーボードの前部,最背部,CPUに温度センサを設置
  • 背面に60mm程度の大きめな冷却ファンを4個設置
    • センサの温度に基づいて1120rpmから7600rpmまで回転数が可変
マザーボード

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IntelマザーボードXeon 5500/5600シリーズ2ソケットとDIMMスロット18本を装備

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110408/359257/AMD-Motherboard-Large.jpg

AMDマザーボードOpteron 6100シリーズ2ソケットとDIMMスロット24本を装備

  • AMD Opteron 6100(12コア/8コア)
  • Xeon 5500/5600(2〜6コア)
  • デュアルソケット
  • ハードディスク用のドライブベイ(それぞれ2台のドライブを収容可能)を3つ設置可能
  • 拡張スロットはPCI-eスロットが1本
BIOS
  • 入れ替え可能
    • チップはソケットで装着
    • ネットワークで更新
    • 遠隔からハードウェアリブート可能
  • PCI/PCI-eレーンを無効化可能
  • USBポートも無効化可能
ラック
  • ラックが3つつながった特殊サイズのキャビネット
    • 幅1713mm,奥行914.4mm,高さ2410.27mm
  • 1ラックにサーバ30台
  • 1キャビネットあたりイーサネットスイッチ2台
  • 外気冷却のため密度は上げない
    • 一般のデータセンタより密度は低い
  • 輸送の浪費を少なくするため運送用コンテナに収まるように筐体とサーバを設計
バックアップバッテリ
  • 直流48Vを供給
  • サーバキャビネット2つに対して1つの割合で2つのサーバキャビネットに挟みこむようにして設置される
  • UPSをインラインで接続することはしていない
    • 交直交の変換が電力ロスの原因
照明
  • モーションセンサーで人を感知して点灯するLED照明
Open Compute Project
  • 技術仕様やCADを公開
  • サーバー
  • 電力供給
  • サーバラック
  • 電源バックアップシステム
  • 建築設計
建設協力
プロジェクト参加

Verisignが.com TLDをDNSSECに対応

Verisign は 2011年03月31日,同社が管理するTLDの.comをDNSSECに完全対応させたと発表した

同社は2010年08月に.edu,2010年12月に.netをDNSSECに対応させており,2011年までにDNSSECを導入するという計画を果たした模様.

他のgTLDに関しては,Public Interest Registryの管理する.orgと米政府の.govは導入中のようだ.

Googleの超高速ブロードバンド実験地域はカンザスに

2011年03月30日,Googleは1Gbpsの超高速ブロードバンド実験の最初の地域としてカンザスシティを選定したと発表した.2012年第1四半期にサービスの提供開始を予定している.

コメント

このプロジェクトの本当の目論見はまだわからないのだけど,表向きにはこういうことを言っている.

  • Next generation apps: We want to see what developers and users can do with ultra high-speeds, whether it's creating new bandwidth-intensive "killer apps" and services, or other uses we can't yet imagine.
  • New deployment techniques: We'll test new ways to build fiber networks, and to help inform and support deployments elsewhere, we'll share key lessons learned with the world.
  • Openness and choice: We'll operate an "open access" network, giving users the choice of multiple service providers. And consistent with our past advocacy, we'll manage our network in an open, non-discriminatory and transparent way.

WIDEの研究会で会場のアクセス回線の都合から1Mbpsも出ない輻輳だらけの回線を経験したのだけど,その時はAjaxバリバリのGoogleとか使い物にならなかったなぁ.

Verizonが100Gバックボーンを米国に展開

2011年03月30日,Verizonは100Gバックボーンを第二四半期の終わりを目処に展開することを発表した.同社は欧州で既に100Gバックボーンの展開を成功させている